第397話:お前と勝負する

黒川浩二のハンサムな顔には感情の変化はなく、さりげなく袖のボタンを外して指を見せ、特に薬指の指輪が最も目立っていた。

二つのダイヤモンドが陽光の下で輝き、坂本真理子は見なかったふりをするのも難しく、目が数秒間留まった。

黒川浩二は何気ない口調で言った。「加奈が私のために直接デザインした結婚指輪だよ。彼女は学業が忙しいのに、私のために心を砕いてくれる。可愛いと思わない?」

坂本真理子:「……」

可愛くなんかねぇ!!

強制的に犬のエサを押し付けられた気分だ!!

黒川浩二は手を引っ込め、薄く笑って、愛の自慢だけでは足りず、とどめを刺した。

「そうだった、独身の犬には分からないよね。」

言い終わると、部屋の中へ歩いていった。

坂本真理子:「…………」

黒川のじいさん、覚悟しろ![○・`Д´・○]

坂本加奈は坂本家の全員にお土産を持ってきており、差別なく配っていた。

上野美里は坂本加奈と二年ぶりの再会で、料理をしながらも彼女と世間話に花を咲かせ、黒川浩二は気を利かせて義父と将棋を指すことにした。

坂本真理子は横で観戦し、時々口を挟んでいたが、坂本健司は彼の話が多いのを嫌がってテレビを見に行かせた。

キッチンでは、上野美里が昼食の準備に忙しく立ち回っていたが、口元の笑みは絶えなかった。

「この二年間、あなたが国内にいない間、黒川君はよく私たちを訪ねてくれたわ。あなたの当てにならない兄よりずっと孝行者よ。」

坂本加奈は、彼が自分のためにしてくれたことすべてを思い出し、心が温かくなったが、それを表に出すのは控えめにした。

「お兄ちゃんも孝行者よ。ただ口が悪いだけで、心配してても口に出して言わないだけなの。」

上野美里は笑いながら首を振った。「お父さんもそんなじゃないのに、誰に似たのかしら!彼はこんなに長く独身でいるのも、きっとこの口のせいね。」

坂本加奈は冗談めかして言った。「以前、お兄ちゃんが安藤美緒と結婚しようとした時、お母さんは反対したじゃない。」

「はぁ。」上野美里は思わずため息をついた。「私は最初、彼女が計算高い人だと思ってたけど、実は不幸な人だったのね。今じゃ再婚どころか三回目の結婚でも、彼が女性を連れて帰ってくれれば天に感謝するわ。坂本家の先祖に申し訳が立つわ。」

「お母さん、もしお兄ちゃんが男性を連れて帰ってきたら……」