第448章：恐れ

角田春樹は何かを理解したようで、携帯を手に取り立ち上がって言った。「蘭、先に食事を済ませて。電話をかけてくるから」

彼は寝室に入っていった。

佐藤薫は目の前にある彼の手料理を見つめていたが、食欲はなかった。

先ほどの彼の反応を見ると、菊田利人のしたことを知らないようだった。本当に知らないのだろう。

寝室のドアは半開きで、角田春樹の激しい言葉が時々聞こえてきた。菊田利人と口論しているようだった。

最後に角田春樹は「もう友達じゃない」という言葉で通話を終えた。

しばらくして、角田春樹が寝室から出てきた。優しい眼差しには謝意が満ちていた。「ごめん蘭、彼がそんなことをするなんて知らなかった。長年の同級生で、昔はいい人だったのに、この数年で何があったのか分からないけど、こんな風に変わってしまって、親友まで騙すなんて」

話しながら、拳を握りしめてテーブルを叩き、自責の念に駆られて言った。「もう少しで義理の両親にあんな家に住まわせるところだった！」

佐藤薫は彼がそれほど自責の念に駆られているのを見て、以前の疑いを払拭し、責めるどころか慰めた。「そんなに自分を責めないで。あなたは関係ないわ。あなたも騙されたのよ」

角田春樹は顔を上げて彼女を見つめ、非常に真剣な表情で言った。「蘭、信じてほしい。本当に彼がそんなことをするなんて知らなかったんだ！知っていたら、絶対に承諾しなかった！君のために節約したかっただけなのに、こんなことになってしまって」

「信じてるわ。でも菊田利人はもう信用できないし、あなたのあの友達たちも好きじゃない」

菊田利人にしても、自分のことを気取っていると言った人たちにしても、好きになれなかった。

「分かってる。でも蘭、理解してほしいんだ。彼らとは長年の付き合いがあるから、関係を絶つのは現実的じゃない」角田春樹は困った表情を浮かべ、懇願するように言った。「これからはできるだけ彼らとの付き合いを減らすことを約束するよ。いいかな？」

もし彼が直接彼らとの関係を絶つと言ったら、佐藤薫は逆に不安を感じただろう。でも付き合いを減らすと言うのは、普通の人の考え方だった。

自分の一言で、すぐに友人との関係を絶つというのは、かえって疑わしく思えるはずだ。

彼が自分のために妥協してくれるなら、佐藤薫も当然彼を思いやり、理解しようとした。