第500章:「まだ私のことを怒っているの?」

「坂本真理子、私は怖くないわ。もう昔の佐藤薫じゃないの。今の私は何も恐れない!私は両親の支えなの。私が踏ん張らなきゃ、両親をもっと良く世話することができないわ」

坂本真理子は喉が締まる思いで、彼女が弱みを見せたくないことを知っていたので、多くを語らず、ただ彼女を抱く腕にさらに力を込めた。

「僕の方が怖いんだ。抱かせてくれないか」

佐藤薫は不思議そうに「何が怖いの?」

「君が一生僕のことを好きになってくれないんじゃないかって。一人で年を取っていくんじゃないかって。油断してると君が誰かと逃げちゃうんじゃないかって。俺が怖いことはたくさんあるんだ」

でも全部君に関することばかりだ。

佐藤薫は言葉を失い、手で彼を押しのけた。「坂本真理子、しっかりして!」

坂本真理子は一歩後ろに下がって立ち直り、凛とした瞳に笑みを浮かべ、夕陽よりも優しげに「俺は昔からふざけてたけど、それでも君は俺のことが好きだったじゃないか」