写真スタジオ。
スタッフがカーテンを開けると、純白のウェディングドレスを着た佐藤のお母さんの姿に、佐藤薫は思わず驚きの声を上げた。
「お母さん、本当に綺麗!」
佐藤のお母さんは娘の褒め言葉に少し照れて、顔を赤らめた。「私もう年なのに、こんな格好して大丈夫かしら?」
ウェディングドレスは佐藤薫が選んだもので、ベアトップのマーメイドライン、長いトレーンはなく、上品で華やかな印象だった。
「何が大丈夫じゃないの?」佐藤薫は母を回転させながら、父の方を向いた。「お父さん、お母さん綺麗でしょう!」
佐藤のお父さんは既に見とれていて、娘の言葉を聞いて慌てて頷いた。「綺麗だよ。お前のお母さんはずっと綺麗だったんだ、いつだって綺麗だった。」
佐藤のお母さんは夫の言葉に更に頬を赤らめ、咲き誇る花のようだった。
スタッフも傍らで三人家族の高い容姿を褒め称え、佐藤のお母さんが若くて綺麗で、佐藤薫と並ぶと母娘というより姉妹のようだと言った。
佐藤のお父さんと佐藤のお母さんは若い頃仕事が忙しく、ずっと海外にいて、婚姻届を出して親戚友人に食事を振る舞っただけで、ウェディング写真も撮らず、披露宴もしなかった。それが二人の心の中の心残りだった。
元々は家族写真を撮って、妻と娘の思い出にしようと思っていたが、佐藤薫はそれを聞くなり、両親にウェディング写真を撮ることを提案し、自分が母のブライズメイドになると言い出した。
そうすれば家族写真も撮れるし、両親の心残りも埋められる。
佐藤のお父さんの体調のため、屋外撮影は選ばず室内で、衣装もウェディングドレスとタキシード以外に、チャイナドレスと普段着も選んだ。
佐藤薫は佐藤のお母さんの世話もし、佐藤のお父さんの世話もし、両方忙しく立ち回りながらも、常に笑顔を絶やさず、一度も疲れたとは言わなかった。
撮影が終わり、佐藤のお父さんは佐藤薫を見つめながら、感慨深げに言った。「お前がウェディングドレスを着る姿を見られたらどんなに良いだろうな。」
佐藤薫は父の言葉の意味を理解しながらも、わざと聞き流すように笑って言った。「私がウェディングドレスを着るところが見たいなら簡単よ。今すぐ着て見せるわ。」
佐藤のお父さんは彼女が話を逸らすのを見て、ただ軽く首を振って何も言わなかった。