坂本加奈は口に入れた海老の味が一瞬にして美味しくなくなった。なんだか母親に当てつけられているような気がした。
自分は浩二のことをとても心配しているのにQAQ
佐藤薫は何も言わず、紅い唇が少し動いた。今の上野美里のような開明的な姑は実際少ないから、加奈と坂本真理子がこんなに優しいのも納得だ。
午後、坂本健司も会社に戻らず、久しぶりの家族団らんで、黒川浩二を連れて二階に上がり、自分の書道の作品を見せた。
佐藤薫と坂本加奈、上野美里は一緒に果物を食べながら、どこの服が可愛いとか、そのうちネイルに行こうかとか話していた。
坂本加奈は絵を描くので、ネイルは邪魔になるだけで意味がない。佐藤薫も仕事の関係で、派手すぎるのはできず、せいぜい単色のマニキュアを塗る程度だった。
上野美里は落胆して溜息をつき、「最近の若い女の子は買い物も好きじゃない、ネイルも好きじゃない、エステも好きじゃない。仕事してお金稼ぐことばかり考えて、家でゲームばかりして。女性としての楽しみをどれだけ失っているのかしら」