元々ハイテクな雰囲気だった部屋は、可愛らしい少女風の部屋に変わっていた。寝具は喜ばしい赤色で、カーテンはピンク色のレース付きデザイン。最悪なことに、自分のパソコンチェアとデスクは影も形もなく、ピンク色の化粧台に取って代わられていた。
上野美里は息子の表情に気付かず、嫁が気に入ってくれるかどうかだけを気にしていた。「蘭、気に入った?」
「気に入るわけないだろ」坂本真理子は不機嫌そうに言い返した。「母さん、あなたの美的センスは50年前に逆戻りしたの?」
上野美里は彼を睨みつけた。「何を言ってるの?これのどこが悪いの?あなたの前のシルバーやグレーよりずっといいでしょう!若いのに暗い雰囲気って何よ!」
「あれはハイテク感!ハイテク感なんだよ!暗い雰囲気じゃない、分からないなら適当なこと言わないでよ!」坂本真理子は目を白黒させそうになった。