第554章:私もあなたが恋しい

これからは海野先生に注射される必要がなくなり、黒川詩織は気分が良かったので、家に帰らずに直接会社へ向かった。

森口花はオフィスで幹部たちと仕事の打ち合わせをしていて、彼女は外で待っていた。

幹部たちが次々と出てきたが、黒川詩織は積極的に中に入ろうとはしなかった。彼の仕事の邪魔をしたくなかったからだ。

内田須美子がオフィスのドアまで来て、ノックをして知らせた。「森口社長、黒川お嬢様が外でずっとお待ちです」

森口花はすぐに手元の書類を置き、大股で歩いてオフィスを出た。黒川詩織を見ると、目に優しさと笑みが浮かんだ。

「どうして突然来たの?来たのに入ってこないなんて」

黒川詩織は顔を上げて彼を見つめ、愛らしい顔に笑みを浮かべながら、まだ傍に立っている内田須美子を見て、「お仕事の邪魔をしたくなかったから」