フィン-2つの組織

国中の強者たちが集まる場所を探しているなら、ここが正解だ。「酔金街」。国内の大物たちがここに集まるのも当然のことだった。しかし、今入ってきたこの男は、こんな場所にいるべき人物ではなかった。

「マーヴ、久しぶりだな」

マーベリックとほぼ同年齢の男が、ハンサムな顔に笑みを浮かべながら空間に入ってきた。両手をズボンのポケットに入れ、その明るい表情からは何の問題も抱えていないように見えた。

「フィン警部」と、行く手を阻まれたビジネスマンは軽く頭を下げて挨拶した。

犯罪世界にマーベリックのような存在がいるなら、法の側にはフィン警部がいる。フィンと犯罪者の両方が生きている限り、何年かかろうとも獲物を追い詰める男だ。

犯罪者を直接捕まえられない場合、フィン警部は偽の証拠を仕掛けて逮捕し、自白するまで徹底的に拷問を加えるのだった。

フィン警部は法の味方だが、その手足は闇の世界の悪に染まっていることを多くの人々は知っていた。そのため、彼が本当にどちら側の人間なのか判断がつかなかった。その「謎めいた」男の本心を知っているのは、フィン警部本人と彼の仲間たちだけだった。

フィン警部はビジネスマンに微笑みかけ、横に寄って通る空間を作った。紳士ではあるが、善人と勘違いしてはいけない男だ。

フィンは携帯で何かを打っているマーベリックの前に座り、ため息をついた。「マーヴ、もう7年経ったんだ。そろそろ許してくれてもいいだろう?」

「いや」

「でも、俺のために色々やってくれているじゃないか。この前はスミス弁護士の裏取引の証拠を送ってくれた。先週はオスカーのファイル、そして昨日はレイモンドのも。まだ怒っているなら、なぜそんなことをするんだ?」その名前を挙げられた者たちは、スミス弁護士を除いて、M国で最も指名手配されている犯罪者トップ10に入る人物たちだった。

マーベリックは顔を上げて彼を見た。「お前は警察官だろう?俺は法を守る市民だ。犯罪者を警察に引き渡すのは、俺の義務じゃないのか?」

しばらくの間、空間は静まり返った後、フィン警部は大笑いを始めた。「法を守る市民だって?徐家とあれだけの問題を起こさなければ、上からお前を何が何でも押さえ込めという命令は来なかったはずだ。お前は俺の仕事を難しくしているんだぞ」