第67章 2曲目の細川奈々未の曲

小谷千秋はその言葉を聞いて、さっと振り向いて彼女を見つめ、目が輝いていた。

山村治郎は困惑して言った。「私たちがどうやって曲を用意できるというんですか?あなたは作曲家ではないし、分からないでしょうが、一つの曲を作って完成させるまでには最低でも一ヶ月はかかるんです...それに、細川奈々未先生のような高品質な曲を作り出すのは、ほぼ不可能です...小谷先生の曲がある以上、もし私たちが景山誠のために見つけた曲が『寂默』に及ばなければ、比較されて負けてしまいます...」

同じ月にランクインすることになり、景山誠と小谷千秋は同じ会社なので、必ず比較されることになる。

山村治郎は再び眉をひそめた。「まあいい、まずは景山誠に電話して、歌いたいかどうか聞いてみよう。」

そう言って、彼は携帯を取り出した。

会社を引き継いでから、彼は所属タレントたちの番号を記録していた。景山誠の番号を見つけて電話をかけ、尋ねた。「Weiboの件は見ましたか?どうするつもりですか?」

景山誠:「...Weiboって何の件?」

山村治郎:???

彼は一瞬戸惑った。「Weiboを見ていないんですか?」

「Weiboのアプリをダウンロードしていないですよ!どうやって見るんですか...」

山村治郎:!!

こいつは本当にタレントなのか?!

彼は口角をピクリとさせながら、Weiboでの出来事を説明した。すると景山誠は言った。「あぁ、歌うことですか?やめておきます。私は演技の方が好きなので...彼らが私を批判する?批判すればいいじゃないですか、肉が減るわけじゃないし。」

マイペースなタレントのキャラを完璧に確立している!

沢井恭子もほっとした。

父が歌いたくないなら、それでいい。ちょうど自分の正体も守れる。

山村治郎は考えた末、この件についてこれ以上追及しないことにした。結局、景山誠は20年以上歌っていないのだから、たとえ良い曲を用意しても、彼が上手く歌えなければ時間の無駄になってしまう。

電話を切ると、彼は言った。「この件は広報に任せます。小谷先生は録音に専念してください。では、失礼します。」

沢井恭子も立ち上がった。「私も失礼します。」

小谷千秋は彼女を見つめて言った。「沢井先生、曲の録音が終わったら聴いていただけますか?」