菜恵子は山崎夏枝の状態を見て、少し驚いた。
でも、理解できる気がした。
あまりにも疲れていたからだ。彼女は一度、ニュースの取材で48時間ぶっ通しで働き、帰ってきてから20時間も寝続けたことがあるのだ!だから山崎夏枝のこの状態も当然だと思った。
少なくとも、佐藤グループが公表した感染症状の中に、過度の眠気という症状は含まれていなかった。
菜恵子は携帯を置いて、引き続き接客を続けた。
藤原夏美は外で止められ、非常に不満だったが、大輝さんに認められるためには実績を上げなければならないことを知っていたので、諦めることはできなかった。
彼女は唇を噛みながら、しばらく外で待っていると、佐藤樹富が木村和利と一緒にやってきた。
佐藤樹富も招待状を持っていなかった。
しかし、木村和利は海浜市一番の薬屋の経営者であり、さらに佐藤樹富は以前佐藤グループの代表として、長年大衆の心の中で威厳のある人物だった。
佐藤家が今や問題を抱えているとはいえ、ドアマンも止めることはできなかった。
佐藤樹富と木村和利が入ろうとしたとき、藤原夏美はすぐに声を上げた。「佐藤社長!私は製薬工場の藤原夏美です。一緒に入れていただけませんか。」
「……」佐藤樹富は彼女を一瞥し、この若い研究員のことは覚えていた。なぜここにいるのかは分からなかったが、藤原夏美が声をかけてきた以上、うなずくしかなかった。
藤原夏美は彼の後ろについて行った。
木村和利はこの業界での大物で、入室するとすぐに、周りの薬屋の経営者たちが集まってきた。
「和利さん、いらっしゃいましたね!」
みんなが木村和利に挨拶した後、木村和利は佐藤樹富を指さして言った。「皆さん、これは誰だか分かりますか?」
人々は互いに顔を見合わせた。佐藤樹富のことはとっくに気付いていたが、挨拶したくなかっただけだ。今、木村和利が言及したので、みんな口を開いた:
「おや、これは佐藤社長ではありませんか?こんな小さな集まりにお越しいただけるとは、本当に驚きですね!」
「以前の佐藤社長なら、私たちのような小さな集まりなど眼中にないはずですよ。不動産は暴利ですからね、私たちのような小さな薬屋など、彼の目には些細なものでしかなかったでしょう!」
佐藤樹富は指を強く握りしめた。