第194話 目覚めない

山崎夏枝は数回咳をした後、再び水を飲んで抑えようとしたが、彼女自身も急に不安になってきた。

まさか本当に何か感染症なのだろうか？

いや、きっと脅しに違いない。

自分の咳は山崎の母に影響されただけだ。

彼女は強がって言った：「すみません、水を飲んで詰まってしまって。」

彼女は水を飲み続け、喉の痒みを必死に抑えながら、スマートフォンに向かって言った：「ちょっとトイレに行ってきます。」

彼女はトイレに駆け込み、山崎の母が服用していた風邪薬を取り出し、自分も2錠飲んだ。考えた末、足りないと思い、さらに2錠追加した。

こんな重要な時期に、風邪は引けない。

4錠の薬を飲み、温かい水も飲んだ後、頭がぼんやりとして、急に眠くなってきた。

空も暗くなり、彼女は思い切って配信ルームに向かって言った：「昨夜、兄の火葬が行われました。私たちには話し合える場所が一つもありませんでした。一晩中怒りで眠れませんでした。今日は早く寝ます。配信は続けたままにしておきますので、皆さん、私のことを見守っていてください。佐藤グループが言っているこの感染症は3日で発症するそうですが、私は7日間の猶予を与えます。7日以内に、私が元気なままでいたら、画面の前の皆さんに力を貸していただき、殺人犯に代価を払わせたいと思います！」

山崎夏枝は歌手で、多くのステージ経験があり、観客の感情を動かす方法をよく知っていた。

彼女は目を赤くしながらこれらの言葉を言うと、案の定、コメント欄は支持の声で溢れた：

——そうですね、早く休んでください。昨夜ずっと寝返りを打っているのを見ていました。やっぱりよく眠れなかったんですね？

——早く寝てください！もうここで話さないで！

……

山崎夏枝は倍量の風邪薬を飲み、ぼんやりとしたまま床に就いた。

目を閉じるとすぐに眠りに落ちた。

眠れば、咳も抑えられるはず。

-

山崎夏枝が眠りについた後、藤原夏美はどう見ても症状があるようには見えなかった。彼女は眉をひそめて沢井恭子を見た：「沢井さん、むやみに言うものではありません。彼女のどこに症状があるというのですか？」

沢井恭子は眉を上げて彼女を見つめ、ちょうどその時、小走りで建物に入ってきた佐藤和利がその言葉を聞いて、すぐに嘲笑うように言った：「目が見えないから、わからないんでしょ。」

「……」