宴会場。
佐藤大輝は四人の子供たちが無事だと分かり、もはやそれほど急いで彼らを探す必要はないと思った。
適当な場所に座ろうと思ったが、気づかないうちに沢井恭子とザルスが話している場所へと向かっていた。
二人はバルコニーに座り、宴会場の人々に背を向けていた。
二つのソファの間にある小さなテーブルには、お菓子と一杯のシャンパン、一杯のお茶が置かれていた。
ザルスは話し疲れたようで、シャンパンを一口すすって喉を潤し、沢井恭子を見た。「恭子、なぜお酒を飲まずにお茶だけなんだ?」
沢井恭子は淡々と答えた。「お酒は体に悪い、お茶は健康にいい」
「……」ザルスは彼女を困ったように見つめた。「君はまだ二十代だぞ。君のような若さで、そしてこれほどの才能を持つ人間は世界でも稀有だ。私は七十歳になっても研究に貢献しているというのに、君はこんな若さで引退するつもりか?」
沢井恭子は一瞬躊躇い、目を伏せて静かに言った。「……突然そう思っただけです」
彼女は突然、奮闘する意味を見出せなくなっていた。
共に戦った仲間が、裏切りを決意した瞬間から……
あの時期、彼女は暗闇の中にいた。佐藤大輝が彼女を導き出してくれた。
しかし後に、佐藤大輝までもが消えてしまった。
彼女の心は以前ほど暗くなくなったものの、突然人生の意味を見失ってしまった。
Zグループは気まぐれで設立したもので、子供たちへの遺産のようなものだった。Zグループの全てが軌道に乗った後、彼女は人生の目標を失ってしまった。
沢井恭子はそこまで考えると、茶碗を持ち上げて一口飲んだ。「ブコウ安定剤の研究開発は、あなたでも十分できます。私は必要ありません」
ザルスは彼女が協力してくれないことを残念に思ったが、強制できないことも分かっていた。
佐藤大輝は二人の後ろに立ち、女性に視線を向けた。
彼女と五一八号室は時々似たような印象を与えることがあったが、生活習慣があまりにも違いすぎた。
五一八号室は酒を好み、葉巻を吸い、若さを盾に好き勝手な生活を送り、自分の体を粗末に扱った。時には怪我をしても適切な処置をせず、化膿して炎症を起こすこともあった。当時の彼は彼女に対して愛憎半ばする思いだった。
しかし沢井恭子は健康に非常に気を使っていた。