宴会場。
佐藤大輝は四人の子供たちが無事だと分かり、もはやそれほど急いで彼らを探す必要はないと思った。
適当な場所に座ろうと思ったが、気づかないうちに沢井恭子とザルスが話している場所へと向かっていた。
二人はバルコニーに座り、宴会場の人々に背を向けていた。
二つのソファの間にある小さなテーブルには、お菓子と一杯のシャンパン、一杯のお茶が置かれていた。
ザルスは話し疲れたようで、シャンパンを一口すすって喉を潤し、沢井恭子を見た。「恭子、なぜお酒を飲まずにお茶だけなんだ?」
沢井恭子は淡々と答えた。「お酒は体に悪い、お茶は健康にいい」
「……」ザルスは彼女を困ったように見つめた。「君はまだ二十代だぞ。君のような若さで、そしてこれほどの才能を持つ人間は世界でも稀有だ。私は七十歳になっても研究に貢献しているというのに、君はこんな若さで引退するつもりか?」