第269章 音楽祭!

五十嵐孝雄は目を見開いた。

彼は信じられない様子でその下書き用紙を見つめていた。

古琴の楽譜、特にこのような断片的な楽譜は、古代の記録方式を使用しており、文字が難解で、演奏する人でさえ理解できないことが多かった。

今、その紙には、数字譜の記録方式で、長い楽節が書かれていた。

彼はそれを手に取って見てみると、沢井恭子が古琴の楽譜の違和感のある二枚を入れ替えていたことに気づいた。

その瞬間、五十嵐孝雄は何かを悟った!

この二枚の楽譜のつながりは摩耗して見えなくなっていたため、彼は常に修復を試みていたが、どう修正しても非常に違和感があった。それは楽譜のページが前後逆に綴じられていたからだった!

今このように入れ替えると、楽譜全体が完成した。

この琴譜は大和が海外で失った文化遺産で、数年前に善意の人によって国に返還され、博物館に保管されていた。装丁されたページに誤りがあっても不思議ではなかった。

彼は自分で考えすぎていたのだ!

彼はすぐに古琴を取り出し、テーブルの上に置いて、試しに弾き始めた。

『梅花寒』は古曲の断片譜に相応しく、彼が適当に弦を弾いただけでも、この曲の魅力を感じることができ、間違いなく会場を沸かせることができるだろう。

ドアの外で。

一時間が経ち、温井琴美は再び人々を連れてきて、五十嵐孝雄の失態を見物しようとしていた。

一行は大勢で五十嵐孝雄の活動室に向かった。

ドアの前に来ると、中から五十嵐孝雄のぎこちない、途切れ途切れの古琴の音が聞こえてきた!

全員が少し驚いた。

誰かが驚いて叫んだ。「楽譜を修復できたの?」

五十嵐孝雄は手を止め、振り返ってこの一群の人々を見ると、遠回しな言い方はせずに、顎を上げて傲慢に言った。「活動室は当分お渡しできないようですね。」

温井琴美は目を細めた。「五十嵐孝雄、たとえ楽譜を修復できたとしても、今はあなた一人でしょう。一人で練習するのに活動室は必要ないはずだから、私たちに譲るべきよ!」

五十嵐孝雄は嘲笑うように笑った。「私は一人じゃない。」

そう言って、五十嵐孝雄は方雄たち四人を見つめ、楽譜を修復できた喜びをまだ顔に残したまま叫んだ。「方雄、楽譜の修復ができたぞ、戻ってこい!」