五十嵐孝雄は目を見開いた。
彼は信じられない様子でその下書き用紙を見つめていた。
古琴の楽譜、特にこのような断片的な楽譜は、古代の記録方式を使用しており、文字が難解で、演奏する人でさえ理解できないことが多かった。
今、その紙には、数字譜の記録方式で、長い楽節が書かれていた。
彼はそれを手に取って見てみると、沢井恭子が古琴の楽譜の違和感のある二枚を入れ替えていたことに気づいた。
その瞬間、五十嵐孝雄は何かを悟った!
この二枚の楽譜のつながりは摩耗して見えなくなっていたため、彼は常に修復を試みていたが、どう修正しても非常に違和感があった。それは楽譜のページが前後逆に綴じられていたからだった!
今このように入れ替えると、楽譜全体が完成した。
この琴譜は大和が海外で失った文化遺産で、数年前に善意の人によって国に返還され、博物館に保管されていた。装丁されたページに誤りがあっても不思議ではなかった。