「奈津子、どうしてこんなことができるの?虎穴に入るようなものじゃない?なぜ佐々木和利と協議離婚するの?あなた、彼のことを知らないでしょう!彼は信頼できる人なの?もう何日も一緒に過ごしているけど?彼は何か不適切なことをしなかった?ねえ?あなたをいじめたりしなかった?」藤原美月は眉間にしわを寄せ、奈津子の手首をつかんだ。
奈津子は笑いながら藤原美月の手を振り払い、彼女の手の甲を軽くたたいた。「大丈夫よ、晴子さん。心配しないで。私は元気でしょう?」
彼女は自分のために水を注ぎ、一気に飲み干した。さらに二杯注ぎ、一杯を藤原美月に渡し、もう一杯を手に持った。
「私と二見家の関係は、もつれた糸のように切れないわ。前に進もうとしても、二見家は必ず足を引っ張るでしょう。二見家を抑えられて、かつ私と条件交渉ができるのは、和利しかいないの。」