018 奮い立つ

藤原美月は翌日出勤した。少し疲れた様子だったが、元気はあった。

誰も異常に気付かなかった。

二見奈津子は我慢できず、オフィスに誰もいない時に彼女に尋ねた。「長期休暇を取って、どこかに行ってみない?」

藤原美月は驚いて言った。「あなたの脚本も戻ってきたし、今年の映画祭のエントリーもあるし、いろんなイベントの準備もあるのに、休暇なんて取れるわけないでしょう?」

二見奈津子は藤原美月を見つめたまま、何も言わなかった。

藤原美月は微笑んで、彼女の肩を叩いた。「大丈夫よ、お姉さんは耐えられるわ。失恋なんて、男なんていくらでもいるでしょう?古い恋が去らなければ、新しい恋は来ないものよ」

二見奈津子は彼女の手を掴んだ。「そんなふうに言えば言うほど、あなたは彼のことを気にしているってことよ。まだ忘れられていないのね。仕事があなたの気を紛らわせてくれるなら、私は無理強いしないわ。でも、絶対に元気でいてね。私はあなたを必要としているの。仕事でも感情面でも!」