橋本拓海は一瞬驚いたが、すぐに言った。「それとは違うよ。あのバカは少し名が売れただけで調子に乗って、所属の女優に手を出したんだ。しかも強情な相手に当たってしまって、開き直られて逆に付きまとわれちゃって...まったく、蹴り飛ばしてやりたいよ!」
橋本拓海は怒りに任せて身振り手振りを交えながら、胸を叩いて悔しがった。
井上邦夫は力なく言った。「そんなに血気盛んにならないほうがいいよ。今目をつけている相手が次のバカじゃないって、どうして分かるんだ?」
橋本拓海はニヤニヤ笑って答えた。「そんなことないよ。この人は女性だし!しかも簡単には姿を見せないってことは、容姿に自信がないんだろうね。考えてみろよ、女性で、不美人で、才能がある...これって最高のパートナーじゃないか!一生、変な男女関係のトラブルに悩まされることもないし、色欲に目がくらんだバカの尻拭いをする必要もない!」