022 兄弟

井上邦夫も興味を示し、二人は佐々木和利を見つめていた。関口孝志だけが携帯をいじりながら、心ここにあらずといった様子だった。

佐々木和利は淡々と言った。「友達の友達だよ」

「女?」

「女だ!」

井上邦夫と橋本拓海が、一人は疑問形で一人は断定的に言った。

佐々木和利は軽く「うん」と返事をした。

井上さんは姿勢を正して、橋本拓海に目配せをした。「今夜からそこに住むよ。どうせ中は何でも揃ってるし、着替えを持ってこさせればいいだけだ」

橋本拓海が近寄ってきた。「俺も一晩泊めてよ」

井上さんは遠慮なく言った。「料金払えよ!」

橋本拓海は白い目を向けた。「払うわけないだろ!お前とヤったわけじゃないんだから!」

「お前みたいなのじゃ、この俺様の絶世の美貌には及ばないね!」二人は言い争いを始めた。