040 出迎

子犬が彼に向かって「ワン!」と吠えた。

井上邦夫は子犬を地面に下ろして言った。「それを承諾したと思うよ。これからはお前は俺の息子だ。あの娘を追いかけるのを手伝ってくれたら、パパが世界で一番いい、一番高い犬のエサをあげるからね!」

子犬は鼻を鳴らしながら、新しい領地を歩き回って嗅ぎ、この新しい家を探検していた。

橋本拓海から電話がかかってきた。「もしもし、チャンスは見つかった?」

井上邦夫は得意げに言った。「天の助けだよ!車を降りたとたんに彼女に会えたんだ。へへ、順調な滑り出しだぜ、兄弟!」

橋本拓海も喜んで言った。「進展があったら、必ず紹介してくれよ。彼女を通じてしか、あの天才監督に会えないんだからさ!」

井上邦夫は兄弟からの助けは断らないが、兄弟からの頼みごとは、状況次第というところだった。