二見奈津子は頷いて言った。「才能のある人だね!誰が想像したのか分かれば、引き抜いて脚本を書かせたいものだ。」
藤原美月は口を尖らせた。「私はゴミ拾いじゃないわよ。こんなレベルのデマを流す人なんて、引き抜く価値もないわ。」
二見奈津子はペンを回しながら尋ねた。「森永さんへのプレゼントは決まった?」
藤原美月が答える前に、二見奈津子は続けた。「私の前に描いた絵を贈るのはどう?」
「いいわね、もちろんいいわ!森永さんはきっと大喜びよ!今すぐ表装に出してくるわ!」藤原美月は風のように去っていった。
森永さんは芸能界で非常に影響力のある人物だった。若い頃に監督した作品は今でも超えられておらず、その後は裏方に回り、業界での人脈も広く、経験も豊富で、出身も良く、財力もある、芸能界で誰もが取り入りたい存在だった。
彼は郊外に古代庭園を模した私有の庭園を持っており、面積は百畝以上で、控えめながら贅沢な造りだった。毎年この季節に園遊会を開催していた。
交友関係が広く、各界各層のトップクラスの友人がいたため、毎年の園遊会では注目を集める複数のコラボレーションが実現していた。
そのため、森永さんの園遊会は大きな注目を集め、招待状を手に入れることは身分と地位の証明のようなものだった。関係のある人々は皆、争って参加しようとしていた。
二見奈津子と藤原美月が森永さんと知り合ったのは数年前のことで、偶然の巡り合わせだった。
藤原美月は二見奈津子のために赤いドレスを用意した。斜めに肩を出し、ウエストを絞った、前丈は膝丈で後ろは床まで引きずるデザインで、愛らしく魅力的だった。二見奈津子の愛らしい人形のような顔と合わせて、藤原美月の言葉を借りれば「死ぬほど可愛い!」ということだった。
藤原美月自身は白いシャツに金糸の刺繍が施されたマーメイドスカートを着て、海藻のような長い髪をなびかせ、知的で優雅な姿だった。
二見奈津子は歯痛そうな表情で言った。「なんで私がマスコットで、あなたが調教師みたいな感じなの?」
藤原美月は唇を引き締めて笑った。「あなたの勘は、いつも正確ね。」
二人は準備を整えて時間通りに園遊会に参加した。入り口で招待状を渡すと、門番は彼女たちに微笑んで言った。「森永さんは裏庭の書斎でお客様と面会中です。お二人はそのままお通りください。」