029 来歴

「この藤原美月さんですが、皆様のようなファッショナブルな方々は彼女をご存知ないかもしれませんが、それは大損ですよ!彼女が何をしているのか、私は言えませんが、この娘は手ごわいんです!後で私に仕返しされるのが怖いですからね!」

「一つだけお話ししましょう。二見奈津子さんが着ているこのMounの新作ですが、Mounのデザイナーが私を通じて藤原美月さんに連絡を取り、最適なモデルを見つけてもらい、最高の着こなしを見せてもらいたいと依頼したんです!」

「藤原美月さんが手掛けるものは、新作か限定品だけです。彼女は美とファッションに対して人並み外れた才能を持っています!ただし、気性が激しいので、刺激しない方が賢明ですよ!」森永さんの藤原美月に対する評価には、年長者の若者への愛情が言葉の端々に滲み出ていた。

藤原美月は前に出て森永さんの腕に手を回した。「それは褒めているんですか、それとも貶しているんですか?なんだか変な感じがしますけど?もしこれで彼氏が見つからなくなったら、あなたに賠償請求しますからね!」

森永さんはわざと顔をしかめた。「やっと彼氏を探す気になったのかい?もし君が執着を手放して真面目に彼氏を探す気になれば、私のところから君の両親の家まで行列ができるだろうね!」

藤原美月は人差し指を唇に当てた。「ストップ!ストップ!話題を変えましょう!」

森永さんは大笑いし、藤原美月を言い負かせて嬉しそうだった。皆に楽しんでいってくれるよう声をかけながら、二見奈津子、藤原美月、佐々木和利、そして数人の若者たちを自分の側に残して談笑していた。

二見華子と二見和利はそのまま置き去りにされ、周りの人々は一斉に彼らを避けるようになった。

森永さんは彼らの面子を立ててくれたが、誰も馬鹿ではない。状況は明らかだった。二見華子が彼女たちを馬鹿にして利用しようとしていたことが、その悪意ある意図も含めて。

「二見華子は元々二見家の養女で、二見奈津子こそが本当のお嬢様だって聞いたわ。田舎育ちの方が、巣を奪った者よりも優秀だったなんて!」

「二見華子はずっと佐々木和利さんと婚約していると言っていたのに、佐々木さんは何も言わずに結婚していたなんて。彼女とは全く関係なかったのね!本当に恥ずかしいわ!」

「ねえ、佐々木さんは誰と結婚したの?全然噂も聞かなかったけど?」