047 口論

家族全員で賑やかに食事を済ませ、佐々木和利の再三の要請で、皆は名残惜しそうに二見奈津子と別れを告げた。

二見奈津子は、もう一言でも言えば、この四人家族は佐々木和利の家まで一緒に来てしまいそうだと感じた。

車が高級住宅街を離れるまで、二見奈津子の唇には笑みが浮かんでいた。

彼女はこのような家庭の雰囲気を経験したことがなかった。

佐々木和利は彼女の笑顔を見ていた。家族が二見奈津子を好きで、二見華子を好まないことは知っていたが、まさかここまで彼女のことを気に入るとは思わなかった。

そして彼女も家族に対して少しも媚びることなく、心から自然に接していた。それが彼の心の中で彼女への好感をさらに深めた。

「ご家族、本当に素敵ね」二見奈津子は思わずため息をついた。

佐々木和利は黙っていた。彼女が自分の家族の不出来さを嘆いているのかどうか、一瞬分からなかった。

二見奈津子は微笑みながら横を向いて、彼を見た。「妹さんを私の家に遊びに連れて行ってもいい?お母様も?」

佐々木和利はハンドルを切りながら、不思議そうに尋ねた。「なぜダメなの?」

二見奈津子は肯定的な答えを得たと理解し、嬉しそうに「よかった」と言った。

佐々木和利は思わず説明を加えた。「彼女たちは誰にでもこんなに優しくするわけじゃない。妹は気が荒いんだ」

二見奈津子は頷いて気にしない様子だった。藤原美月や安藤さんだって怒ると驚くほど怖いのだから、自分は世間を知っている人間だと!

家に帰り、車から降りる時、二見奈津子は後部座席とトランクいっぱいのプレゼントを見て溜息をついた。「多すぎますね」

佐々木和利は微笑んで黙っていたが、心の中では、これからはもっと増えるだろうと思っていた。一度彼女が気に入ったプレゼントを贈ると、これからは途切れることなく続くはずだ。義姉がその良い例で、兄が止めるまで続いたのだから。

彼が荷物を持ち上げると、二見奈津子も手伝いながら言った。「後で確認して、記録を取っておきましょう」

佐々木和利は不思議そうに二見奈津子を見た。

二見奈津子は荷物を持ちながら説明した。「そうすれば、私たちが別れる時に、引き継ぎがはっきりするでしょう」

佐々木和利は顔を曇らせ、両手いっぱいの包みを持ったまま、無言でエレベーターに向かった。