047 口論

家族全員で賑やかに食事を済ませ、佐々木和利の再三の要請で、皆は名残惜しそうに二見奈津子と別れを告げた。

二見奈津子は、もう一言でも言えば、この四人家族は佐々木和利の家まで一緒に来てしまいそうだと感じた。

車が高級住宅街を離れるまで、二見奈津子の唇には笑みが浮かんでいた。

彼女はこのような家庭の雰囲気を経験したことがなかった。

佐々木和利は彼女の笑顔を見ていた。家族が二見奈津子を好きで、二見華子を好まないことは知っていたが、まさかここまで彼女のことを気に入るとは思わなかった。

そして彼女も家族に対して少しも媚びることなく、心から自然に接していた。それが彼の心の中で彼女への好感をさらに深めた。

「ご家族、本当に素敵ね」二見奈津子は思わずため息をついた。

佐々木和利は黙っていた。彼女が自分の家族の不出来さを嘆いているのかどうか、一瞬分からなかった。