057 観点

佐々木和利は好奇心を抱いて尋ねた。「なんだか、理恵に演技をさせたくないような気がするんだけど?」

二見奈津子は首を振った。「家族が反対したら、妹が心を込めてしまって、この件で皆が不愉快になってしまうのが心配なんです。キャスティングは田村先輩が担当していて、彼の目利きは皆信頼していますから。彼が理恵が適役だと思うなら、きっと理由があるはずです。私たちは役に合った俳優を見つけることを一番望んでいますから。」

佐々木和利は頷いた。「じゃあ、理恵に決めさせればいい。あなたが干渉する必要はない。両親も祖父も開明的だから、彼女の行動を制限したりしないよ。あなたのそばにいれば、彼らも安心するだろう。映画の撮影はいつ始まるの?」

佐々木和利は話題を変えた。

「藤原美月が戻ってきてからです。彼女のお母さんの具合があまり良くないみたいで、様子を見に帰っているんです。」と二見奈津子は答えた。