073 企画書

「あぁ、だめ——、それはいけないわ。まぁいいわ、あなたの言う通りにするわ!でも私、気になるのよ。分かるでしょう?この好奇心が満たされないと、眠れないのよ——」橋本拓海は切り札を切った。

佐々木和利は少し黙った後:「彼女は、少し鈍感で、外からの力で後押ししないと、私の気持ちも自分の気持ちも分からないだろう。」

「えっ?」橋本拓海は首を傾げた。

佐々木和利は言葉を選びながら:「彼女は恋愛を信じていないようで、仕事のことしか考えていない。私なりのやり方で、彼女に分かってもらいたいんだ。」

「なるほど、少し分かったぞ。お前は育成系なんだな。さすが佐々木和利だ!上級者の手法だな!よし、兄弟のために何でもするぞ!何をすればいいか言ってくれ!」

佐々木和利は満足そうだった。

藤原美月は雑誌を手に持って、困惑した表情で二見奈津子を探しに来た。

「何?」二見奈津子は雑誌を見て、手を伸ばして受け取った。

「中に写真があるの、あなたと佐々木和利さんの。」藤原美月は本を開いて、そのページを見つけ、二見奈津子に指さした。

二見奈津子は呆然とした。

それは結婚指輪の広告ページで、数枚の指輪のサンプル写真の横に、一枚の美しい小さな写真があった。男性が女性の肩を抱き、頭を下げて、微笑みながら耳元で囁いている。

一目で恋人同士だと分かる写真で、甘さと愛情が写真からあふれ出そうだった。

このようなページにこのような写真を配置するのは、レイアウトから内容まで、とても理にかなっていた。

それが重要なポイントではない。重要なのは、この写真では二人とも正面を向いていないものの、佐々木和利の横顔がより多く写っているが、二人を知っている人なら必ず二人だと分かるということだ。今の藤原美月のように。

「写真の出来は、とても素晴らしいわ。」藤原美月は静かに言った。

二見奈津子は少し戸惑いながら:「この写真、いつ撮ったのか、私全然覚えていないわ。」

彼女は目を上げて藤原美月に尋ねた:「これって、何か問題があるの?」

藤原美月は首を振った:「写真の反響がすごくて、みんな写真に表現された神がかり的な恋愛を絶賛しているわ。でも私のところにも何件か電話があって、あなたに彼氏ができたのかって聞かれたの。森永さんからも電話があって、二見奈津子さんと佐々木和利さんみたいだって言ってたわ。」