奈津子は彼の機嫌がよさそうなのを見て、遠慮なくポケットからペロペロキャンディーを取り出し、包み紙を剥がして、一つを自分の口に入れ、もう一つを和利に差し出した。
和利は目の端で近くにフラッシュが光るのを見つけ、堂々とペロペロキャンディーを口に含んだ。
「美味しい?」奈津子が尋ねた。
和利は頷いた。
「晴子さんのおすすめのお菓子は、はずれがないのよ」和利はそこで初めて、これが藤原美月のおすすめだと知った。
「女の子はみんなお菓子が好きなの?」和利が尋ねた。
奈津子は首を振った。「わからないわ。私たちがお菓子を食べるのは、インスピレーションのため、眠気覚ましのため。昔、晴子さんはタバコも吸ってたけど、彼女の理想の人に出会ってから、やめたの。あの人が彼女にもたらした唯一の良いことは、タバコ中毒にならなかったことね」