佐々木和利は眉を上げて言った。「工作員をどうやって見つけるんだ?教えてくれれば、私たちも雇って彼らを潰せばいい。」
二見奈津子は彼の冗談に笑った。「冗談はやめて!それじゃ二見華子と何が違うの?来週一緒に生配信を見ましょう。今となっては、一歩一歩進むしかないわ。」
佐々木和利はそれを聞いて、驚いて言った。「すぐに佐々木理恵を連れ戻すと思っていたよ。」
二見奈津子は苦笑いした。「そう簡単にはいかないわ。私が誰だと思ってるの?理恵は契約を結んでいるのよ。違約金が莫大なの。」
佐々木和利の表情を見て、二見奈津子は言った。「お金のことは気にしていないのは分かるわ。でも、これは理恵の評判に関わることよ。前に進むしかないの。後退はできない。そうしないと、後々大変なことになるわ。」
「そんなに心配なら、理恵に電話してみたら?」佐々木和利は提案した。
二見奈津子は首を振って言った。「藤原美月が彼女と話をするわ。理恵は私に内緒で契約したの。今私が電話したら、プレッシャーになるわ。でも藤原美月となら、もっとオープンに話せるはず。晴子さんが相談役になってくれれば、私も安心よ。」
佐々木和利は笑って言った。「こんなに早く理解できるなんて、本当に感心するよ。」
二見奈津子はため息をついた。「私は性急な性格なの。たいていは自分をコントロールして、ゆっくり決断できるんだけど、大切な人や物事に関しては、とても衝動的になってしまうの。」
彼女が少し物思いに沈んでいるのを見て、佐々木和利は言った。「それはいいことじゃないか?素直に行動するのは、自分を尊重することだよ。いつも他人のことばかり考えすぎるのは、疲れるよ。」
二見奈津子は少し驚いた。彼は、彼女を見抜いていたのか?
佐々木和利は物事を先延ばしにしない人だった。
彼は関口孝志と食事の約束をした。
橋本拓海と井上邦夫を連れて行かなかったのは、彼らを巻き込みたくなかったからだ。物事には察するだけで十分なこともある。彼は問題を直接的に解決するのが好きだった。
関口孝志を誘ったとき、林千代は誘わなかった。どんな場合でも、友人に最後のチャンスを与えたかったからだ。
しかし、関口孝志の最後のチャンスも消えてしまった。なぜなら、彼は林千代だけでなく、佐藤美咲と斎藤由美も連れてきたからだ。