佐々木和利は思わず暗い表情になった。
藤原美月は佐々木和利の微妙な表情の変化を見逃さず、笑って言った。「まあまあ、とりあえず家に帰って様子を見てきたらどう?誰が邪魔しに来たのか確認してみましょう。私は谷口安子のところに行って、何が起きているのか聞いてみます。」
向井輝と二見奈津子は頷いて同意した。
二見奈津子は藤原美月に注意を促した。「二見華子の件は気にしないで。私たちには関係ないから。重要なのはこれからの今村町への旅程よ。晴子さん、お願いね。」
藤原美月は頷き、ふと思い出して言った。「あれ?今村町って白川市に属してるんだよね。まあ、世間は狭いものね!」
井上邦夫は少し焦って言った。「兄さん、兄さん、休暇の申請を忘れないでくださいよ!」
佐々木光は向井輝に尋ねた。「私にはまだ数日休暇があるんだけど、私たちも一緒に行かない?あそこは景色がきれいだって聞いたよ。」
向井輝は目を輝かせた。「いいわね!いいわね!」
佐々木光は井上邦夫に言った。「準備してきなさい。井上和敏には私から話しておくから、反対はしないはずだよ。」
井上邦夫は興奮して言った。「はい、ありがとうございます、兄さん!」
そう言って、尻尾を振るように藤原美月を引っ張って行った。
藤原美月は歩きながら笑って言った。「本当に休暇が取れると確信してるの?」
井上邦夫は全く心配していなかった。「絶対大丈夫です。あの人たちの間では、たった一言で済む話なんです。父親よりも効き目があります。」
藤原美月は首を振った。「想像もつかないわ。」
井上邦夫は言った。「これから時間が経って、あの人たちと会うようになれば、分かるようになりますよ。さあ、早く帰って準備しましょう。私、もうすごく長い間、すごく長い間休暇を取ってないんです。すごく興奮してます。」
「かわいそうに。」
二人は楽しそうに話しながら去って行った。
佐々木光は弟に尋ねた。「うちの佐々木家は今や政略結婚で維持しなければならないところまで落ちぶれたのか?」
佐々木和利は兄を無奈気に見つめた。「僕にもう少し信頼を寄せてくれないか?相手の家が僕たちと政略結婚しないと維持できないところまで落ちぶれたと考えることはできないのか?」