238 目覚め

二見奈津子と藤原美月は思わずほっと息をつき、会場のスタッフ全員が大きくほっとした。

芸能記者たちの機材は煙を上げんばかりで、頭のCPUも焼き切れそうだった。ファンミーティングでこんな大事件が起きるなんて、これは半月分の見出しとトレンド入り間違いない。しかもこの結末で大どんでん返し。この平和な雰囲気は、まさに大成功のファンミーティングそのものだった!

佐々木家のお嬢様は紫微星に守られているのかもしれない。次の大スターに選ばれた運命の人なのだろうか?

デビュー以来、様々な騒動に見舞われながらも、いつも危機を乗り越えてきた。まるで神の助けがあるかのようだ。それでいて本人は堂々としていて、いつも何でも正直に話せる態度を持っている。運の良さを羨むしかなく、彼女を中傷する口実さえ見つからない。

人は運命に逆らえないものだ。これからは佐々木さんに対して、キーボードの手加減をした方がいい。中傷しようなんて考えは持たない方がいい。自分から傷つく必要なんてないのだから!

佐々木理恵は会社に戻るなり、怒って二見奈津子と藤原美月を訪ねた。「晴子さん、世論をコントロールする必要はありません。好きに報道させましょう!どのメディアが適当なことを書けるか見てみたいわ!」

二見奈津子は眉をひそめて言った。「この佐藤翔はひどいわね!こんなに薄情だなんて。もう佐々木和利には話しておいたわ。また彼らが私たちを煩わせに来ないように!もう顔向けできないでしょう。」

藤原美月は冷静に佐々木理恵に尋ねた。「佐藤翔に確認してみない?もしかしたら、あの女性の思い込みかもしれないわ。彼女の一方的な言い分かもしれない。もし佐藤翔が好きな人が本当にあなただったら?」

佐々木理恵は躊躇なく拒否した。「確認することなんてないわ。あの女性の問題でないなら、それは佐藤翔が解決すべきことよ。本当だとしたら、なおさら私には関係ないわ。幸い私は佐藤翔を好きになっていなかったから、この面倒な事態に対処する必要もないわ。」

藤原美月は尋ねた。「理恵、もし、もしよ、あなたが佐藤翔を好きになって、彼が本当にあなたのために何年も彼を愛してきた女の子を捨てたとしたら、どうする?」