藤原美月は身動きひとつできず、その場で凍りついたまま、関口孝志に抱きしめられ、全身の血液が凍りついたようだった。
七年間、関口孝志は彼女にこんな優しい言葉を一度も掛けてくれなかった。
藤原美月の涙が、抑えきれずにこぼれ落ちた。
「千代や、妹の美紀の一生の幸せは、あなたにかかっているのよ。ほら、この部屋には若くて優秀な人がたくさんいるでしょう。適当に一人選んであげれば...いいえ、適当じゃだめね。関口孝志の助けになるような人を選んで、美紀があなたの良き助手になれるようにしましょう。従姉妹が一家になれば、素敵じゃない!」叔母は目を輝かせながら言い、派手な化粧をした従妹を彼女の前に押し出した。
従妹の林美紀は、当然のような表情を浮かべていた。
林千代は眉をひそめる気力すらなかった。「叔母さん、私は売春斡旋者じゃないし、美紀も街娼じゃありません。林家は没落したとはいえ、そこまで落ちぶれてはいないでしょう?少しでも自尊心があれば、私までこんな風に見下されることはないはずです!」