323 汚水

斎藤由美は笑いながら、声を潜めて言った。「やっぱり奥様の目は確かですね。向井輝の品行が悪いのを見抜いていたんでしょう？まったく！私と林千代にあなたの半分の洞察力があれば良かったのに。」

丹野環奈はお世辞に気を良くし、噂話への興味が一気に湧いてきた。「つまり——、以前の向井輝についての噂？実際どうだったの？坂元慶子は静かにしているように見えるけど、かなり手際よく全ての噂を封じ込めたわね。」

斎藤由美は内心喜びながら、口を尖らせて言った。「事実は事実よ。一時的に隠せても永遠に隠せるわけないでしょう？向井輝は佐々木家に入ってから、やっと彼女の汚れた過去を隠せたのよ！メディアに顔を出さないのは、清高潔白だからじゃなくて、人前に出られないからなのよ！ふん！あのね——」

三人の女性が寄り集まって、細かく噂話に花を咲かせた。丹野環奈は目を丸くして聞きながら、心の中では痛快な気持ちが込み上げてきた。