384 新たな出会い

二見奈津子は目を伏せ、感情を落ち着かせてから言った。「私は一度もあなたたちを認めないなんて言ったことはありません！苦労して探し出したのに、まさかこんな形になるとは思いもしませんでした。」

涙が止まらなくなり、奈津子は笑いながら拭い、二見和利を見つめた。「髭を剃って、髪も切ったほうがいいわ。そのままじゃ、見苦しいわ。」

二見和利は頷いた。「ああ、帰ったら身なりを整えるよ。今日来たのは、二見華子の件で君を助けたいからだ。彼女が佐々木和利を狙っているのは分かっている。」

二見奈津子は一瞬固まった。

二見和利は続けた。「二見氏は確かに彼女のものになったが、その基盤は私が築いたものだ。人員配置も私が全て行った。二見華子は経営が分からないし、谷口安子はタレント同士の争いは得意だが、運営は不得手だ。二見氏を正常に機能させられる人間は皆、私の部下だ。だから彼女の動きを把握するのは難しくない。」

「二見氏を取り戻すつもり？」奈津子は彼の言葉の真意を察した。

「それがおかしいかい？」二見和利は反問した。

「でも、両親は二見氏を二見華子に——」奈津子が言いかけた。

「君の両親でもあるはずだ！」二見和利は奈津子の言葉を遮った。

奈津子は黙った。二見夫妻はそうは思っていないのだから。

二見和利は軽くため息をついた。「奈津子、必ず両親に二見華子の本性を分からせるよ。ずっと騙されたままにはさせない。」

奈津子は軽く笑った。もう気にしていなかった。

「どうやって二見氏を取り戻すの？」彼女は尋ねた。

二見和利は真剣な眼差しで、淡々と答えた。「もちろん、正々堂々とだ。」

彼は微笑んで続けた。「それはさておき、今は帰って身なりを整えないと。これからは新しい人生を歩むんだ。二見華子の件で何か世間の噂が出ても、君は気にするな。私に任せてくれ。」

奈津子は彼を見つめた。

二見和利は誠実で確固とした眼差しで言った。「一度だけ信じてくれないか、奈津子。私は本気だ。」

奈津子は軽く頷いた。「分かったわ。」

二見和利は手を伸ばし、軽く奈津子の頭に触れたが、すぐに手を引っ込め、立ち上がって急いで去っていった。

奈津子は二見和利が使っていたカップを見つめ、ぼんやりと考え込んでいた。

「ここに座ってもいいですか？」明るい声が頭上から聞こえた。