二見奈津子は報告書を大まかに見て、机の上に置き、藤原美月の後ろに回って肩をもみながら、笑って言った。「もういいじゃない!私の藤原社長、晴子さん!もうすぐ花嫁になるんだから!こんなごちゃごちゃしたことは気にしないで、むしろ結婚式の進行で抜けているところがないか見てみましょう!」
藤原美月は彼女の手を掴んで、むっとして言った。「私は真面目な話をしているのよ!他の話にそらさないで!」
二見奈津子は回り込んで、藤原美月の足元にしゃがみ、見上げながら言った。「私にとって、あなたと井上邦夫さんの結婚が一番真面目で、一番重要なことなの!他のことは全部後回しよ!晴子さん、緊張してるの?」
その一言で、藤原美月は静かになり、無理に作っていた真面目な表情も崩れた。
「奈津子、私と井上邦夫は幸せになれると思う?」藤原美月のその一言は、彼女の心の中の苦悩と脆さを露呈していた。
二見奈津子は立ち上がり、優しく藤原美月を抱きしめ、柔らかくも確固とした声で言った。「なれるわ!あなたと井上邦夫さんは絶対に幸せになれる、一生幸せで、白髪になるまで添い遂げるわ!」
二人は静かに抱き合い、藤原美月は二見奈津子の腰に手を回し、声を詰まらせながら言った。「私はいつも、こんな幸せが私のものになるなんて信じられなくて、みんなが優しくしてくれれば くれるほど不安になるの。失うのが怖くて、もし運命的にいつか失うことになるなら、最初から持たない方がいいって思っちゃう。」
二見奈津子は藤原美月から離れ、椅子を引いて彼女の隣に座り、彼女の耳元の髪をさらりと撫でながら優しく微笑んだ。「晴子さん、それは結婚前の不安症よ。井上邦夫さんのことをとても愛しているからこそ、こんなに心配になるのよ。」
「あなたたち二人は本当に運命の相手同士ね。昨日、佐々木和利さんが言ってたわ。井上邦夫さんが彼を誘って飲みに行って、毎晩眠れないって。目が覚めたら、この幸せがなくなってしまうんじゃないか、全部が夢だったんじゃないかって心配で。佐々木さんは、こんな井上邦夫さんは見たことがないって、散々からかったそうよ。」
藤原美月も笑った。「本当?」