二見奈津子は立ち上がった。
傍らの若い看護師が言った。「お爺さんが私たちの目を盗んで、自分で外に散歩に出かけて、病室が分からなくなってしまったんです。二見さんが送り届けてくださって助かりました。」
青木大輔の視線は、氷のように冷たくその若い看護師を見つめ、看護師はすぐに頭を下げた。
青木お爺さんは二見奈津子に声をかけることに夢中だった。「お嬢ちゃん、まだ大輔のことを怒ってるのかい?爺さんが彼をぶん殴って気持ちを晴らしてやろうか?彼のことは気にしないでおくれ!あいつはただの役立たずで物分かりが悪いんだ。」
二見奈津子は笑いながら言った。「お爺さん、私は怒っていませんよ。あなたがおとなしく言うことを聞いてくれたら、次回はあなたの好きなお菓子を持ってきて会いに来ますね!」