426 心を殺す

しかし、さらに心を痛める出来事がその後に待っていた。

その夜、酔っぱらった関口孝志はついに酒の勢いを借りて母親に文句を言いに戻ってきた。

丹野環奈はリモコンで林千代の密室のカーテンを開け、母子の会話の全過程を彼女に見せた。

関口孝志は「どさっ」と丹野環奈の前にひざまずき、憂鬱な表情で「母さん——」と言った。

丹野環奈は目の前の息子を冷ややかに見つめ、心は非常に穏やかだった。

彼女の心は、林千代の支配下に置かれた時にすでに傷ついており、この手塩にかけて育てた実の息子の無能さについても、すでに受け入れていた。

丹野環奈は何も言わなかった。

関口孝志は顔を上げて彼女を見た。「母さん、僕が間違っていました。許してくれますか?」

丹野環奈はそっとため息をついた。「息子よ、私たちは親子だ。許すも許さないもないでしょう?あなたが間違いを犯したなら、それは母である私の過ちがあなた以上に重いということ。だってあなたは私が産んだ子だから!」

関口孝志は悔やむ表情を浮かべた。「母さん、僕は林千代を信じるべきではなかった。彼女の罠にはまって、今のような状況になってしまった。」

丹野環奈の視線は、林千代にとっては窓となっている壁に向けられ、薄く皮肉な笑みを浮かべながら言った。「彼女はあなたの妻で、長年連れ添ってきたのだから、責任を全部彼女に押し付けることはできないわ。」

関口孝志は憤然として言った。「彼女は表面上は優しくて賢いふりをしているけど、陰では何でも悪いことをする。もし彼女が藤原美月を追い出さなかったら、僕はあの時期にあんなに落ち込むこともなかった。」

「全部僕が彼女を信じすぎたせいだ。斎藤由美も佐藤美咲も僕に警告してくれた、林千代に注意しろって。でも僕は気にしなかった。彼女を信じすぎたから、今日のような状況になってしまったんだ!」

丹野環奈は思わず深く息を吸い、じっと自分の息子を見つめた。窓の向こうの林千代がどんな気持ちでいるか想像するまでもなく、彼女自身も息子のこの厚かましい発言に言葉を失った。

「母さん、今回は本当に自分の間違いがわかりました。助けてください。会社を買い戻すのを手伝ってくれませんか?長老たちに話して、僕を鈴木家に戻らせてくれませんか?僕は何も持たないなんてできないんです、母さん!」関口孝志は悔しそうな顔をした。