第14章 シンイーリンの料理の腕前

今日、佐藤正志が起きてこなかったので、佐藤和音は何か問題があると感じ、しばらく待っても起きてこないので、正志の部屋のドアを開けた。

正志がまだ寝ているのを見て、和音はベッドの側に行って彼の額に手を当てた。

そして、彼が熱を出していることが分かった。

正志は自分が熱を出していることを知っており、病院に行きたくないなら、おとなしく薬を飲まなければならなかった。

正志が手を伸ばす前に、その柔らかく白い小さな手が薬を彼の口元まで運んできた。

正志は口を開け、薬を口に含んだ。

すぐに和音は適温のお水を彼の口元に持ってきて、彼は少し頭を下げるだけで飲むことができた。

温かい水で、正志は薬を飲み込んだ。

薬が効いてきて、正志は眠気に襲われた。

その間、正志はずっと誰かが側にいることを感じていたが、邪魔されることはなく、とても静かだった。

しかし、彼女が額の上のタオルを取り替えてくれているのを感じることができた。

いつの間にか半日が過ぎ、正志が再び目を覚ました時、かなり楽になっていると感じた。

そして彼が目を開けた最初の瞬間に見たのは、彼のベッドの側で静かに本を抱えて座っている和音だった。

とても静かで、とても素直に、黙って彼のベッドの側で見守っていた。

正志が目を覚ましたことに気付いて、和音は立ち上がった。

そして部屋を出て行った。

正志は少し呆然とした。

しばらくすると和音が戻ってきて、手には湯気の立つホタテのお粥を持っていた。

和音はホタテのお粥を正志のベッドサイドテーブルに置き、そして輝く目で彼を見つめた……

彼女はお粥を飲むのを見守っているのだろうか?

正志はそのホタテのお粥を見た。見た目も香りも味も申し分なく、食欲をそそられた。

そして彼は今、確かにお腹が空いていた。朝から今まで何も食べていなかったのだから。

正志はお粥を手に取り、一口飲んでからは止まらなくなった。

このお粥は本当に美味しかった。空腹のせいかもしれないが、この普通のホタテのお粥が絶妙な味わいを醸し出していた。

正志が飲んでいると、和音がまた部屋を出て行くのが見えた。

しばらくすると彼女は戻ってきた。

手にトレイを持っており、その上には八つの小鉢が整然と並べられ、それぞれに手の込んだ朝食が盛られていた。

サーモンのソテー、人参とキクラゲとごぼうの炒め物、大根の漬物、温泉卵、かつおだしの豆腐汁、玉子焼き、ツナの握り寿司、そしてフルーツの盛り合わせ。

どれも見た目が綺麗で食欲をそそった。

正志は一杯のお粥で満腹だと思っていたが、この綺麗な料理を見ると、また食欲が湧いてきた。

そして八品全てを平らげた。

食事を終えて、正志は瞬時に完全に元気を取り戻したように感じた。

八つの小鉢は全てきれいに空になり、一つも残さなかった。

和音は再び食器を下げに行った。

和音は言葉では表現しなかったが、行動でしっかりと表現していた。

正志は妹の素直で静かな様子を見て、知らず知らずのうちに、彼女への怒りが随分と和らいでいた。

その後、正志はパソコンを開いた。半日も寝ていたので、かなりの仕事が溜まっていた。

仕事をしながら、正志は先ほどの朝食のことを時々思い出していた。安田おばさんはいつ和食の朝食を覚えたのだろう、とても美味しかった。

正志は直樹が病院から戻ってきたら、安田おばさんにこんな朝食を作ってもらおうと考えていた。

正志は知らなかったが、今日は安田おばさんが休みで、原おばさんは病院で岡本治美の手伝いをしており、家には彼と和音の二人しかいなかったのだ。