第21章 1本の手を賭ける

「何してるの?なんで学校にナイフを持ってきたの?」秋田緑は横暴だが、さすがにナイフを学校に持ってくることはなかった。

佐藤和音は秋田緑の質問に答えず、左手にナイフを持って、自分の右手を指さした。

「片手を賭けましょう」

何だって?手を賭ける?彼女は狂ったのか?

少し間を置いて、佐藤和音は続けた。「証拠を出せば、この手を切り落とす。証拠がなければ、あなたの手を切り落とす」

佐藤和音の声は幼さが残り、生まれつき甘い声質だったが、彼女の言葉は本当に恐ろしかった。

彼女は左手にメスを握り、自分の右手首の上10センチの位置に構え、いつでも切り落とせる構えだった。

話し方は柔らかく弱々しいのに、その行動は秋田緑にもない凶暴さを帯びていた。

「頭おかしいの!」秋田緑は佐藤和音が狂ったと感じた。