第22章 これは飴です

「刃物を学校に持ち込むのは校則違反だと知っているのか?栄光高校の校則には、生徒が危険な刃物を学校に持ち込むことは禁止されていると明確に書かれている。違反すれば処分の対象になるぞ!」

生活指導主任は厳しい表情を浮かべた。

「刃物は持っていません」佐藤和音は答えた。

「刃物を持っていない?よくもそんなことが言えたものね!」秋田緑は怒り出した。「さっきみんなが見たでしょう。あなたは刃物を、それも一式持っていたじゃない!今さら知らないふりをするなんて!誰を騙すつもり!」

生活指導主任は心の中でよく分かっていた。佐藤和音は今は無実そうに見えるが、実際には実の兄さえも階段から突き落とすような人間なのだと。

生活指導主任は佐藤和音を諭すように言った。「佐藤さん、今すぐ提出すれば、軽い処分で済ませることもできる。このまま頑なな態度を取り続けるなら、保護者を呼ばざるを得なくなるぞ」

佐藤和音は引き出しから先ほど取り出した手術メスの包みを再び取り出した。

「そうそう、それよ!先生、その黒い包みの中に刃物が入っているんです!」秋田緑は急いで指摘した。

「佐藤さん、その包みを私に渡しなさい」生活指導主任は急いで言った。

「キャンディーです」佐藤和音は言った。

キャンディー?

冗談じゃない!

「誰を馬鹿にしているの?私だってキャンディーくらい知ってるわよ!あれは明らかにメスじゃない!」秋田緑は目を回しながら言った。死に際まで嘘をつくなんて!

生活指導主任は「諄々と」諭した。「佐藤さん、これ以上でたらめを言うなら、無断で刃物を持ち込んだという問題だけでは済まなくなるぞ。一度の過ちは許されることもあるが、何度も繰り返すようでは、誰も善意で許してはくれないだろう」

生活指導主任はこれで、佐藤和音が佐藤直樹を階段から突き落とした件を暗に示していた。

佐藤和音は説明せず、みんなの前で「手術メス」を一本自分の口に入れた……

クラスの生徒たちは驚愕した。佐藤和音は何をしているんだ!

特に佐藤和音の隣席の生徒は思わず「和音さん、死ぬ気!?」と叫んだ。

そして皆は「パキッ」という音を聞いた。佐藤和音の口に入れられた「手術メス」が折れたのだ。

折れた!

まさかこんなふうに折れるなんて!

折れた断面は明らかに金属ではなかった。