第22章 これは飴です

「刃物を学校に持ち込むのは校則違反だと知っているのか?栄光高校の校則には、生徒が危険な刃物を学校に持ち込むことは禁止されていると明確に書かれている。違反すれば処分の対象になるぞ!」

生活指導主任は厳しい表情を浮かべた。

「刃物は持っていません」佐藤和音は答えた。

「刃物を持っていない?よくもそんなことが言えたものね!」秋田緑は怒り出した。「さっきみんなが見たでしょう。あなたは刃物を、それも一式持っていたじゃない!今さら知らないふりをするなんて!誰を騙すつもり!」

生活指導主任は心の中でよく分かっていた。佐藤和音は今は無実そうに見えるが、実際には実の兄さえも階段から突き落とすような人間なのだと。

生活指導主任は佐藤和音を諭すように言った。「佐藤さん、今すぐ提出すれば、軽い処分で済ませることもできる。このまま頑なな態度を取り続けるなら、保護者を呼ばざるを得なくなるぞ」