大井心は積極的に佐藤和音に話しかけました。「佐藤さん、秋田緑さんが最近あなたを見かけると遠回りして避けているのに気付いたわ。あなた賢いわね。オリジナルの動画を直接アップロードしなかったのは正解だったわ。もしあのまま投稿していたら、秋田さんは確かに酷い目に遭ったでしょうけど、その後きっと狂ったように仕返しに来たはずよ!」
これは大井心が数日間の観察で得た結論でした。
秋田緑はもう佐藤和音に嫌がらせをしてこなくなり、ネット上の関連動画も秋田俊明がお金を払って削除させていました。
佐藤和音は静かに頷きました。
この数日間の付き合いで、大井心は最初ほど佐藤和音を怖がらなくなり、彼女の寡黙な性格にも慣れてきていました。
大井心は佐藤和音に続けて言いました。「そういえば、学校の掲示板見た?この二日間であなたに関するスレッドが全部削除されたのよ!」
スレッドが全部削除された?
佐藤和音は携帯の画面を学校の掲示板に切り替えると、確かに以前トップに固定されていた人気スレッドが消えていました。
「あなたが削除させたんじゃないの?」と大井心は尋ねました。
佐藤和音は首を振りました。
佐藤和音はそれを削除することを考えたことはありませんでした。なぜなら、そのスレッドはほぼ全校生徒が見ていて、削除しても皆の認識は変わらないからです。
「じゃあ、誰が削除したのか気にならないの?」と大井心は再び尋ねました。
佐藤和音は再び首を振りました。
大井心は顎に手を当てて、「私の名探偵コナンを何年も見てきた経験からすると、これは単純な話じゃないわ!もしかしたら...あなたの秘密の崇拝者がやったのかもしれないわよ!」
そのとき、学習委員の山崎彩花が近づいてきました。
山崎彩花は分厚いレンズの眼鏡をかけ、表情は厳しく、高一の八組で一番の優等生でした。
山崎彩花は佐藤和音の机を軽く叩いて注意しました。「来週火曜日に今学期二回目の月例テストがあるわ。あなたたち二人は及第点を取るように頑張って。これ以上クラスの足を引っ張らないでね。」
栄光高校の生徒のほとんどは二つのタイプに分かれていました。成績が良い生徒と、成績は良くないが家柄の良い生徒です。
大井心と佐藤和音は同じく後者に属し、高一八組では間違いなく最下位でした。
これも二人が同じ席になった理由の一つでした。