上杉望は佐藤和音に尋ねた。「この二冊のノートをどう使えばいいか分かっているの?」
佐藤和音の様子を見て、上杉望は不安を感じていた。
二冊のノートを抱えたまま山田燕と勘定を清算しに行くなんて愚かなことはしないでほしい。山田燕の賢さを考えれば、この二冊のノートだけでは彼女を追い詰めることはできないだろう。
佐藤和音がそんなことをすれば、もっと大きな危険を招くかもしれない。
「分かってます」
佐藤和音は確信に満ちた口調で、真面目な様子で答えた。
しかし、彼女の体つきが与える柔らかくて可愛らしい印象は否めなかった。
上杉望はどう見ても頼りなく感じた。「やっぱりこの二冊のノートは私が預かっておいた方がいいんじゃない?何かあったら私に相談に来てくれれば」
「結構です」佐藤和音は躊躇なく断った。