そのとき上杉望が出てきて、「下がっていいよ。隼人と話すから」と言った。
「はい」執事は急いで退室した。
佐藤隼人は上杉望を見ると、遠慮なく「和音は?」と尋ねた。
「妹さんは最近勉強で疲れているみたいで、朝早く来た時には目が充血していたから、客室で休ませているんだ」
「上杉、嘘をつくなよ」
「隼人、どうして私まで信用できないの?」
上杉望は自分の信用がそんなに低いのかと思った。
「あなたを信用していないわけじゃない」
あなたの家に住んでいるあの人を信用していないだけだ。
後半の言葉を佐藤隼人は口に出さなかったが、上杉望には分かっていた。
上杉望は佐藤隼人の肩を叩き、小声で耳元に囁いた。「安心して、彼は女性に手を出さないし、和音には特に何もしないよ」
秋次おじいさんが女性に手を出すようなら、菊地家もそんなに焦って催促したりしないだろう。
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時間が経つにつれて、上杉家には次々と人が集まってきた。
来場者は皆、大阪市で一定の地位や背景を持つ人々だった。
これは若者のホームパーティーで、来場者の最高年齢は25歳を超えなかった。
みんな時間通りに到着し、非常に punctual だった。
このパーティーは上杉望が主催したものだが、上杉家に誰が住んでいるか知らない人はいなかった。
上杉家は十分な料理を用意し、パーティーゲームや様々なパフォーマンスも企画していた。
ただし、秋次おじいさんの姿は見えなかった。
飲み食いのパーティーはいつでもできるが、秋次おじいさんに会える機会はそうそうない。
秋田緑と原詩織もパーティーに姿を現した。
上杉晴夏と秋田俊明の関係を考えると、上杉望が家でパーティーを開く際に秋田緑を招待しないわけにはいかなかった。
秋田緑は自分だけでなく、仲の良い原詩織も一緒に連れてきた。
原詩織は小声で秋田緑に尋ねた。「秋田さん、私がここにいていいのかしら...」
「何が悪いの?パーティーに友達を連れてくるのは普通よ。正式な宴会じゃなくて、ただのホームパーティーなんだから。来た人はみんな友達、そんなに気にすることないわ」
秋田緑は原詩織を慰め、彼女が遠慮がちな様子を見て、さらに言い添えた。