第52章 パーティー(1)

そのとき上杉望が出てきて、「下がっていいよ。隼人と話すから」と言った。

「はい」執事は急いで退室した。

佐藤隼人は上杉望を見ると、遠慮なく「和音は?」と尋ねた。

「妹さんは最近勉強で疲れているみたいで、朝早く来た時には目が充血していたから、客室で休ませているんだ」

「上杉、嘘をつくなよ」

「隼人、どうして私まで信用できないの?」

上杉望は自分の信用がそんなに低いのかと思った。

「あなたを信用していないわけじゃない」

あなたの家に住んでいるあの人を信用していないだけだ。

後半の言葉を佐藤隼人は口に出さなかったが、上杉望には分かっていた。

上杉望は佐藤隼人の肩を叩き、小声で耳元に囁いた。「安心して、彼は女性に手を出さないし、和音には特に何もしないよ」

秋次おじいさんが女性に手を出すようなら、菊地家もそんなに焦って催促したりしないだろう。