原おばさんがそう考えたのには理由があった。
佐藤邸を自由に出入りできるのは、佐藤家の者以外では、彼女と安田おばさんという二人の使用人と、娘の原詩織だけだった。
このものは、ここにいる佐藤家の者が用意したはずがない。彼らには玄関に置く必要がないのだから。
となると、残る可能性は娘の原詩織しかいない。
そして、プレゼントは以前娘と話していたものにぴったり合っていた。
原おばさんは佐藤和音が佐藤邸に戻ってくる可能性を全く考えていなかったし、このような状況で兄にプレゼントを贈るとは更に思いもよらなかった。
原おばさんの認識では、佐藤和音のお嬢様気質からすれば、佐藤正志が自ら機嫌を取りに行っても上手くいかないかもしれないのに、まして自ら佐藤正志に誕生日プレゼントを持ってくるなんてありえないと思っていた。