吉野教授と話し終えた後、吉野教授は藤田安広に佐藤和音を送り届けるよう頼んだ。
「藤田、彼女を無事に送り届けなさい。さもないと戻ってこなくていいわよ!」
「分かりました、先生」
先生は宝物を拾い、藤田は雑草扱いだ。
「和音、家の住所はどこ?」藤田は佐藤和音に尋ねた。
「栄光高校へ行って」佐藤和音は言った。
佐藤和音は今なら祖母が迎えに来る前に学校に戻れる。
藤田は詳しく聞かなかった。佐藤和音が学校に戻りたいと言うなら、そこへ送ればいい。
藤田は車を取りに行った。彼の車は外見は控えめだが、内装と装飾は凝っていた。
佐藤和音は、藤田の車のガラスが全て防弾ガラスで、安全性が非常に高いことに気付いた。
知恵医学研究所にいる人は皆並の人間ではなく、藤田も例外ではない。
藤田が佐藤和音を乗せて正門を通過する時、警備員は気まずそうに笑い、佐藤和音を直視することもできなかった。