第73章 原家の母娘の心配

佐藤正志が佐藤邸を去った時、佐藤家の別荘の小屋にいた原詩織と原おばさんは口論になっていた。

「お母さん、次からこんなことはしないでね。約束したでしょう、プレゼントは私が用意するって」原詩織は眉をひそめ、諦めたような口調で言った。

「何を言ってるの?」原おばさんは原詩織の言葉に困惑した様子だった。

「今日、若旦那様へのプレゼント、あんなことするべきじゃなかったわ」

「今日のプレゼントは、あなたが用意したんじゃないの?」原おばさんは驚いた表情で聞き返した。

原詩織は母親の表情から、母親が本当に知らなかったことを悟った。

「お母さんがしたんじゃないの?じゃあ……」原詩織は急に困惑した。

「私はあなたが準備したと思ってたわ。この佐藤家で、あなたのお母さん以外に誰がこんなことをするかしら……だからお母さんは……これ……あなたがしたんじゃないの?」原おばさんも混乱していた。

母娘は二人とも呆然となった。

お互いに相手がしたと思っていたのに、そうではなかったのだ。

この時、原おばさんは少し慌てた。「どうしましょう?バレないかしら?」

原詩織は眉をひそめ、重い気持ちになった。

娘の深刻な表情を見て、原おばさんは自責の念に駆られた。「全て私が悪いわ。最初から若旦那様にプレゼントを贈るなんて提案するべきじゃなかった。あなたに余計な負担をかけてしまって、今じゃ面倒なことまで起こして……」

母親の申し訳なさそうな様子を見て、原詩織は胸が痛んだ。

「お母さん、もういいの。自分を責めないで。お母さんは私のことを思ってくれただけだから」

原詩織は原おばさんを慰めた。

しかし原おばさんは不安になり始めた。「あの袋の本当の持ち主が現れたらどうしよう?その人が現れたら、私たちが嘘をついていたことがバレてしまうわ。もしバレたら、若旦那様は私たちを追い出すんじゃないかしら?この仕事を失うわけにはいかないの。この仕事を失ったら、あなたの大学の学費を払えなくなってしまう……」

原詩織は原おばさんを落ち着かせた。「お母さん、大丈夫よ。すぐにセーターを編み終えて写真を撮って証拠を残すわ。それから同じような紙袋に入れて庭の茂みに捨てるの。そうすれば説明がつくはずよ」