アパートのドアが開き、最初に入ってきたのは森村晃の父親、森村高雄だった。
「父さん?」森村晃は父親を見て、最初に思ったのは自分の授業サボりがバレて、父親が直接乗り込んできたのではないかということだった。
森村高雄は森村晃を見て、怒りと憤りを感じていた。
「父さん、僕は...今日お腹が痛くて...だから早めに帰ってきたんです...」森村晃は急いで父親に説明した。
森村高雄は森村晃が今日なぜ授業をサボったかなど気にもしていなかった!
授業をサボることぐらいなら咎めるのも面倒だった!
森村晃が弁解している間に、森村高雄の後ろから黒いスーツを着た、威圧的なボディーガードが数人入ってきた。
そして、森村晃は上杉望と、彼女と一緒にいる若い男性を目にした。
森村晃は最初、その若い男性が誰なのか分からなかった。
父親がその若い男性に対して頭を下げ、笑顔を振りまいているのを見るまでは。
森村晃はようやく気付いた。その若い男性は他でもない、東京から来た秋次おじいさんだったのだ!
上杉望と一緒に来て、父親をこんな態度にさせられる人物は、秋次おじいさん以外にいるだろうか?
これまで森村晃は、この有名な秋次おじいさんに会ってみたいと思っていたが、その機会がなかった。
まさか今日突然会うことになるとは。しかも、この状況はあまり良くなさそうだった。
「あの...望さん...これは...どういう状況なんですか?」森村晃は菊地秋次に直接話しかけるのを躊躇い、上杉望に尋ねた。
質問が終わるか終わらないかのうちに、二人のボディーガードが前に出て、森村晃を押さえつけた。
森村晃は、プロの訓練を受けた国際的なトップクラスのボディーガードの前では全く抵抗できなかった。
ボディーガードは彼からスマートフォンを取り上げ、森村晃の手を押さえてロック解除させた。
ロック解除後、ハンカチで拭いてから菊地秋次の前に差し出した。
菊地秋次はスマートフォンを手に取り、確認を始めた。すぐに森村晃と秋田緑とのチャットの履歴、そして彼が雇った輝という不良との会話履歴を見つけ出した。
菊地秋次はスマートフォンを上杉望に渡した。