第78章 凌を守る(3)

高校三年生の特進クラス。

江口沙央梨は携帯を持って原詩織の机の前まで走ってきた。

「詩織詩織、早く見て!大ニュースよ!」

江口沙央梨の声には隠しきれない興奮が滲んでいた。

「どうしたの?」

原詩織は怪訝そうに江口沙央梨を見て、その後携帯の画面を覗き込んだ。

佐藤和音に関することだった。

「私たちには関係ないことだから、この騒ぎに加わらないほうがいいわ」と原詩織は優しく言い、表情は穏やかだった。

原詩織の反応は比較的冷淡だった。

「見るだけなら騒ぎに加わることにはならないでしょう!ほら見て、この佐藤和音ったら、お金持ちの家柄を鼻にかけて、いつも私たちなんか相手にもならないって顔してるくせに、こんな二流のチンピラと怪しい関係になってるのよ」

江口沙央梨は口を押さえて忍び笑いをした。