第87章 隼人が護身用品を贈る

佐藤和音は藤田安広たちに送ってもらうことを断り、何事もなかったかのように、佐藤おばあさんの車が学校の門に着いた時、静かに乗り込んだ。

この時、学校の門前にあった花や風船、横断幕はすでに奥野実里の命令で片付けられていた。

すべてが普段通りに見えた。

佐藤和音は意図的におばあさんにさっきの出来事を知られないようにしていた。

そのため、おばあさんも和音の様子から何か異常があったとは気付かなかった。

車が佐藤家の門前に着いた時、佐藤おばあさんと和音は佐藤隼人の姿を見かけた。

息を切らしており、まるで走ってきたかのように見えた。

佐藤おばあさんは急いで運転手に車を止めさせ、ドアを開けて尋ねた:

「隼人、どうしたの?どうして急に走ってきたの?」

今日は火曜日で、隼人は学校にいるはずだった。