第90章 秋次おじいさんとゲームする(3)

上杉望は考えた。佐藤和音は何もできないかもしれないが、彼女のアカウントでチームの全体的なランクを下げることができれば、マッチングする相手の難易度も下がるだろう。

自分は上手くないが、自分のランクではなんとかやっていける。

残りは秋次おじいさんに任せよう。

上杉望は、このチーム編成なら、ランクを上げられる可能性があると思った。

佐藤和音は相変わらず返事をせず、ヘッドホンを付けてゲームの準備を始めた。

マッチングが成功し、ゲームが正式に始まった。

ゲーム開始と同時に、佐藤和音は菊地秋次と共に最前線へ突っ込んでいった。

「和音さん、私について来て!秋次おじいさんの方に行かないで、あっちは危険だよ!」

上杉望は思わず和音を呼び戻そうとした。

ああ、秋次おじいさんもどうかと思う。チームに女の子がいるのに、こんな攻撃的なプレイスタイルで。

秋次おじいさん、そんなんじゃ彼女できないよ、一生独身になっちゃうよ。

上杉望が心の中でため息をついた瞬間、画面を見ると、チームのキル数が+1になっていた。

しかも、キルを取ったのは佐藤和音だった!

それもヘッドショットキル!

上杉望は画面を凝視して確認した。確かに味方のジェイテンのキルで、間違いない。

えっ?和音さんが虫族を倒したの?

上杉望が不思議に思っていると、右上にまたキル通知が表示された。

今度は【味方のゼットワイエスが98Kスナイパーライフルでヘッドショットキル、虫族を倒し、60ポイント獲得。】

10秒後、さらに通知が:

【味方のジェイテンがM416アサルトライフルでヘッドショットキル、虫族を倒し、60ポイント獲得。】

上杉望は呆然とした。

1回目は運が良かったと言えるかもしれない。偶然の産物だと。

でも2回目はどう説明する?

まさか2回とも運良くヘッドショットなんてことある?

しかも近距離戦のヘッドショットじゃなくて、中距離のヘッドショットだぞ……

その後、上杉望は二人の味方が次々と虫族を倒していくのを見続けることになった。お互いに交互に倒していき、二人の個人スコアは他のプレイヤーを大きく引き離して1位2位を占めていた。

時には佐藤和音が上位に、時には菊地秋次が上位にいた。

そして彼らのチームスコアも急上昇し、2位に大きな差をつけて1位に立っていた。