第101章 佐藤おじいさんと佐藤賢治の会話

みんなが食材の準備をしている間に、佐藤賢治は蘭の間で佐藤おじいさんに会いに行った。

「話してみろ、何があったんだ」

佐藤おじいさんは息子の眉間にしわが寄っているのを見て、何か用事があって自分を訪ねてきたのだと察した。

「お父さんにお願いがあるんです」

「家族なんだから、お願いだなんて堅苦しいことは言わなくていい。何の用か直接言いなさい。私は引退したとはいえ、家族の事なら私にもまだ力になれることがあるはずだ」

「実はこうなんです。直樹の手術をしてくれる医者は見つかったんですが、相手は待ってくれと言うばかりで。これは単なる言い逃れではないかと心配で……」

一昨日、彼らは相手からの返事を受け取った。

相手は断るでもなく、すぐに承諾するでもなく、もう少し待ってほしいと言ってきた。