佐藤おじいさんがそう言ったので、佐藤賢治もそれ以上何も言えなくなった。
今は和音が本家に住んでいて、おじいさんとおばあさんが面倒を見ているし、彼らが大丈夫だと言うなら、もう口出しするのも良くないだろう。
彼の心の中では、まだ何か違和感が残っていたけれど。
上杉望がどんなに信頼できる人物だとしても、結局は男の子なのだ。
うちの和音は女の子なのだから。
将来両家が縁組みすることになっても悪くはないが、今の和音はまだ小さすぎる。そういったことは、もう少し大きくなってからの話だ。
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十時過ぎ、上杉望たちは佐藤和音が用意した食材を芝生に運び始めた。
芝生にはパラソルが何本か立てられ、バーベキューコンロが数台設置されていた。
脇のテーブルには既に調理済みの食べ物や飲み物が並べられていた。
これらは山田燕が用意したものに違いない。
彼女は上杉望との会話が終わってから、ずっと忙しく動き回っていた。
飲み物も他の食材も、彼女は丹精込めて準備し、すべてが最高のものであることを確認していた。
これは本来ただの庭でのバーベキューだったが、山田燕にとっては、菊地秋次に会える貴重な機会だった。
今や大阪市では、どれだけ多くの人が必死になって秋次おじいさんに会おうとしても、叶わないのだから。
上杉望は山積みになったテーブルを見て、使用人に別のテーブルを運んでくるよう指示した。
彼らの食材は別のテーブルに置く必要があった。
山田燕が他人に頼んで用意させた食材と、今朝彼らが買い出しに行って和音さんが直接下処理した食材は、もちろん同じように扱うわけにはいかない。
たとえ和音さんの味付けがまずくても、それはそれで特別なものだ。
あまりにもまずくない限り、和音さんの分は必死に食べるつもりだった。
和音様の面子は保たなければならないし、和音様の自尊心も守らなければならない。
上杉望はまだ佐藤和音の作ったものを食べたことがなかったので、和音の味付けにはあまり期待していなかった。
ただ、先ほどの和音の調味料を注ぐ時の確かな手つきを見る限り、試してみる価値はありそうだと思った。
物が全部運び出された後、佐藤和音たちも外に出てきた。
佐藤和音は可愛らしい絵柄のエプロンを身につけていた。