第104章 庭園バーベキュー(3)

「えっ?秋次おじいさんがこんなに簡単に妥協したの?」

上杉望は今日の菊地秋次が異常なほど話しやすいと感じた。

佐藤隼人は不満げに鼻を鳴らしたが、何も言わなかった。というのも、この方の体調があまり良くないという噂を聞いていたからだ。妹が彼のために特別に食事を用意するのも、道理があることだった。

他の人々は佐藤和音の方を見ていたが、会話に入る余地がなく、なんとなく気まずい雰囲気があった。

岡本治美は菊地秋次が時々自分の娘と言葉を交わすのを見て、心配そうな表情を浮かべていた。

そして、助けを求めるように佐藤おばあさんの方を見た。

佐藤おばあさんは落ち着いた様子で座っており、制止しようとする様子は全くなかった。

おばあさんは夫から聞いていた。この菊地秋次は確かに放蕩息子だが、女性に関しては何の不名誉な記録もないということを。

噂によると、菊地家は様々な方法を考え、多くの女性を紹介しようとしたが、彼はすべて遠ざけていたという。

そして夫の評価によると、この人物は確かに悪い性質を持っているが、おりこと同じように、根は悪い人間ではないとのことだった。

佐藤おばあさんは夫の目を信頼していた。

それに、こんな大勢の前で、若者たちが話をして冗談を言い合うのに、親が口を出すのは理不尽すぎるのではないか?

自分がそんな理不尽な人間だろうか?

山田燕もすぐに屋敷の料理人に別のバーベキューグリルで焼き始めるよう指示した。

佐藤和音の方だけを待っていては、十一人分は足りないだろう。

あちらは若者たちの遊びとして任せておけばいい。

本格的な料理は、こちらで料理人に任せるべきだ。

特に菊地秋次という尊敬すべき客人には、しっかりとおもてなしをしなければならない。佐藤家の接待が不十分だと思われてはいけない。

佐藤和音のホタテと羊肉の串焼きはすぐに焼き上がり、佐藤隼人と上杉望が最初に和音の腕前を味わった。

ホタテには全く辛味を加えず、羊肉の串焼きにはかなりの辛味を加えていた。

上杉望は佐藤和音がいつ自分の辛い物好きを知ったのか分からなかった。

「妹の焼いたの、すっごく美味しい!」佐藤隼人は和音の料理の腕前を惜しみなく褒め称え、喜びに満ちた表情を浮かべた。

上杉望は心の中で呟いた。お前の妹が黄連を口に入れても甘いって言うだろうな。