第112章 2番目の兄、佐藤一輝からの電話

佐藤正志は安田おばさんに説明を終えると、携帯が鳴った。国際電話だった。

佐藤正志が電話に出ると、相手はすぐに尋ねてきた:

「兄さん、妹はどう?最近」

澄んだ声で、若い男性だった。

「お前は毎回電話してくるたびに、最初に妹のことを聞くけど、なんで直接妹に電話しないんだ?」佐藤正志は不機嫌そうに聞き返した。

電話の向こうの人物は、彼の次男の佐藤一輝だった。

現在は海外で修士課程に在学中で、最近の家での出来事は何も知らされていなかった。

知ったところで無駄に心配するだけだから、むしろ勉強に専念させた方がいいと思ったのだ。

佐藤正志の冷たく厳しい性格とは違い、佐藤一輝は弟妹に甘く、特に佐藤和音には何でも応えていた。

そのため、長い間、佐藤正志が悪役を演じ、佐藤一輝が善役を演じることになっていた。